最近は簿記2級の受験者から「簿記2級の試験が難しくなった!」という嘆きの声を聞くようになりました。
この記事では、簿記講師の目線で、2024年10月現在「簿記2級は難しくなったのか」「以前と今の合格率の推移」「簿記2級にチャレンジする価値はあるのか」を紹介していきます。
簿記2級が難しくなったと言われる理由
「簿記2級が難化した」と言われる理由は、2016年より簿記2級試験の大幅な改訂が行われ、ボリュームが増えたことも原因の一つです。
商業簿記2級のボリュームが約1.5倍に増えた
改訂以前に比べ、いくつか削除された論点もありますが、多くの論点が追加になりました。
そのため、2級の商業簿記のボリュームが1.5倍に増えています。
「勉強しないといけない量が増えた=難しくなった」と感じるのが、難しくなったと言われる1つの理由です。
試験の改定が行われたのは、商業簿記の科目のみで、工業簿記は変更ありません。
商業簿記2級の範囲に、1級の論点が追加された
商業簿記2級の範囲に追加された論点は、もともと簿記1級の出題範囲でした。
「連結会計」「税効果会計」「圧縮記帳」など、難しい論点が追加されたことも「難しくなった」と言われる理由の1つです。
ただ、1級の論点が2級に追加されたといっても、問題の難易度は1級よりはるかに易しく、2級では基本的な問題が出題されますのでご安心下さい。
簿記2級への合格は難しくなった?実際の合格率の変化
簿記2級は、学習ボリュームが増えて、聞きなれない問題も増えたので難しくなったと言われます。
確かにボリュームが多くなった分、以前より受験者の負担は増えてしまいました。
ただ「簿記2級に合格することが難しくなった」わけではありません。
試験改訂前の合格率
試験改正前(2016年以前)の10回分の平均合格率は「約26.5%」です。
試験回 | 年 | 月 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
142 | 2016 | 2月 | 70,402 | 10,421 | 14.8% |
141 | 2015 | 11月 | 59,801 | 7,042 | 11.8% |
140 | 2015 | 6月 | 47,480 | 16,395 | 34.5% |
139 | 2015 | 2月 | 55,225 | 12,054 | 21.8% |
138 | 2014 | 11月 | 54,188 | 14,318 | 26.4% |
137 | 2014 | 6月 | 40,330 | 13,958 | 34.6% |
136 | 2014 | 2月 | 55,960 | 23,254 | 41.6% |
135 | 2013 | 11月 | 60,377 | 13,601 | 22.5% |
134 | 2013 | 6月 | 42,703 | 5,920 | 13.9% |
133 | 2013 | 2月 | 57,898 | 27,538 | 47.6% |
合格率をみると「最低11.8~最高47.6%」と、受験回によってバラバラですが、日商簿記2級・3級の合格率の特徴として、受験回によって問題の難易度に差があります。
次に、試験改正後の合格率を確認しましょう。
試験改訂後の合格率
試験改正後、直近10回分の平均合格率(統一試験)は「約22.6%」です。
試験改正前:約26.5%
試験改正後:約22.6%(約4%ダウン)
試験回 | 年 | 月 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
163 | 2023 | 2月 | 12,033 | 2,983 | 24.8% |
162 | 2022 | 11月 | 15,570 | 3,257 | 20.9% |
161 | 2022 | 6月 | 13,118 | 3,524 | 26.9% |
160 | 2022 | 2月 | 17,448 | 3,057 | 17.5% |
159 | 2021 | 11月 | 22,626 | 6,932 | 30.6% |
158 | 2021 | 6月 | 22,711 | 5,440 | 24.0% |
157 | 2021 | 2月 | 35,898 | 3,091 | 8.6% |
156 | 2020 | 11月 | 39,830 | 7,255 | 18.2% |
154 | 2020 | 2月 | 46,939 | 13,409 | 28.6% |
153 | 2019 | 11月 | 48,744 | 13,195 | 27.1% |
ネット試験開始後の合格率
試験改正後、ネット試験を含む2級試験の平均合格率(統一試験)は「約30.5%」です。
試験改正前:約26.5%
試験改正後:約30.5%(約4%アップ)
試験の改訂前と、改訂後の合格率の比較表です。
合格率 | 実受験者数 | 合格者数 | |
試験改訂前 | 26.5% | 554,364 | 144,501 |
2023年4月現在 (ネット試験を含む) | 30.5% | 831,539 | 253,683 |
試験回によって難しい回(合格率の低い回)、簡単な回(合格率の高い回)はありますが、改訂前と改訂後で「簿記2級に合格することが難しくなった」わけではありません。
学習ボリュームは以前より増えてしいましたが、しっかり勉強すれば簿記2級は、ちゃんと合格出来る資格です。
ネット試験と統一試験の合格率の差は、同じ程度になるようどんどん修正されていますが、今だネット試験の合格率の方が高い傾向にあり、活用するのも手だと思います。
あまりに試験に合格することが難しくなってしまうと、受験者も減ってしまい主催者も困りますよね。
中には難しい問題もありますが、基本的な問題でちゃんと点が取れるよう、工夫されていると思います。
簿記2級の価値は高まるので、諦めずにチャレンジを!
合格率は変わりませんが、学習ボリュームが増えたために悩む人もいると思います。
簿記2級の今回の試験問題の改訂の大きな理由の1つが「簿記2級が現在の実務で役に立つように」です。
今の時代に使わないような古い論点は削除され、より実務的な論点が厳選して追加されました。
そのため「以前の簿記2級」よりも「今の簿記2級」を勉強した方は、現在社会で役に立つ知識が身に付きます。
そして「簿記2級」を保有している方は、価値が高まることも確実です。
ぜひ、諦めずにチャレンジしましょう!
簿記2級の講座に関しては「簿記講師が教える、日商簿記2級のオススメ講座ベスト3!」の記事で詳しくご紹介しています。
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[st-date]現在、簿記2級を目指す方はチャンスです。
簿記2級に合格して、価値のある人材として活躍されることを願っています!